信頼できるAIを実現するには?(1) / Trustworthy AI (1)

著者:Jeannette M. Wing

 

acmで掲載されたJeannette M. Wingによる「Trustworthy AI」というレヴュー記事のまとめ連載(1)

ソース:https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3448248

概要

今やAIは実世界の様々な場面やタスクにおいて、非常に優れた性能を発揮することができる。物体の検知技術は自動運転技術の基盤になっているし、音声認識技術はSiriやアレクサとしておうちの生活を便利にしている。今後、医療の現場でもその診断精度の向上の助けになるかもしれないし、法定においては判決をより一貫性のあるものにできるかもしれない。

一方で入力データに意図的にノイズを加えることによって、わざと皮膚病検知AIを騙して深刻な病気だと診断させることもできる。リスク算定ツールによる検証によると、(米国の)法定AIにわざと黒人に不利な判決を出すバイアスをかけたり、ビジネスではHR採用ツールに女性に不利なバイアスがかけられるリスクが含まれていることを示した。

どうすればAIの技術を最大限活用享受しつつ、このようなシナリオを回避できるだろうか?
どうすれば、信頼できるAIを実現することができるだろうか?

重要な視点 / key insights

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COVID-19 関連の技術ニュースメモ: A 3D printed vaccine patch offers vaccination without a shot (9/29)

A 3D printed vaccine patch offers vaccination without a shot (9/29)

概要

ポリマー製のパッチを皮膚にあてることによるワクチン接種技術の開発。

注射ではなく皮膚のすぐ下にワクチンを接種することで、筋肉注射に比べて10倍程度早く免疫反応が起きる。

これは、皮膚のすぐ下には免疫系が集中しているからと別記事で読んだことがある。

パッチは3Dプリントされ、指に乗る程度のサイズのポリマー製の板に、皮膚に届く程度の長さのマイクロ針のトゲトゲがついた形をしている。

3Dプリントによる製造も重要なポイントの一つだ。

通常マイクロ針は鋳型を用いて生産するが、その生産ラインにおいてさまざまなワクチンに柔軟な対応することは難しく、また量産による針の形状の劣化の可能性もある。

直接マイクロ針を3Dプリントすることでコスパ良くロバストな設計を実現している。

注射による接種と比較してもいくつかの点においてパッチによる接種は優れている。

注射による接種の場合、ワクチンを低い温度で輸送し、瓶から移し替え患者に注射するという一連を技術を持つ人が管理する必要があるが、このパッチを使えば、あらかじめマイクロ針にワクチンが入っているため患者が自分自身で接種することも可能になる。

また注射に比べ、より苦痛の少ない接種方法として広まっていく可能性もある。

現在モデルナ製、ファイザー製などのRNAワクチンをマイクロ針に組み込む試験を行なっている。

https://www.unc.edu/posts/2021/09/23/3d-printed-vaccine-patch/

関連

インドの研究機関が8月に発表し、緊急時承認がされたDNAワクチンも、皮膚接種方式だった。